校則のポニーテール禁止 その背景に一人の男の物語
2017年の夏、校則でポニーテールを禁止する中学校が複数あると話題になった。
「うちの中学校も禁止だった」との声はネットでいくつでも確認できるうえ、ヤフー知恵袋などでは過去に何度も議論になっている。
ポニーテール禁止の理由は「うなじが男子の劣情を煽る」と男性側の目線だという。
男性目線の理由なのに女性が制限される校則は人権侵害だとの論争を沸き起こした。
どうして「ポニーテール禁止」などという校則ができてしまったのだろうか。
その背景には、一人の少年のトラウマがあった。
少年A、父親を殺害する
群馬県館林市(ズル林)の観測所で最高気温が40度に達した暑い夏、少年Aは動かない父親を前に立ち尽くしていた。
少年Aは自分の父親を殺害した。
毎日のように母親を殴りつける父親を見て少年Aは我慢の限界に達する。
少年Aは母親を暴行する父親の背後に立ち、手近にあるトロフィーで殴りつけたのだ。
そして、母親と少年Aは動かない父の遺体を自宅の庭に埋める。
事件から7年後、民法第30条第1項に基づき父親は法的に死亡扱いとなった。
父を殺害した少年Aは目立たない生活を選んだ。
部活にも入らず勉強もそこそこ、友人も作らない。
そんな少年Aにとって唯一の楽しみがラジオを聞くこと。
少年Aはラジオの古典文学のパロディのコーナーに投稿するようになり、その作品はラジオの放送作家の目に止まる。
独創的なアイデアが受け入れられて少年Aは芸能界で頭角を表す。
しかし、少年Aの心の中では殺害した父親への罪の想いは消えない。
大人になったA、アイドルに出会う
放送作家だけではこの先に食っていけないと思ったAは作詞家としての活動も始めた。
ある天才歌手の生前最後の曲の歌詞の仕事は、成長してマルチに活躍するAが今でも「作詞家」を名乗る根拠だ。
多くの作詞の仕事を受けるAだったが、苦手なのがアイドルの作詞。
Aにとっては父を殺害したトラウマが今でも残っている。
父親を殴りつけた時、Aは背後から無防備な首筋を狙った。
一方、無邪気なアイドルたちの髪型ではポニーテールにしてうなじを露出しているスタイルも多い。
Aはポニーテールの女性の無防備な首筋を見るたびに父を殺害した過去を思い出してしまう。
「限界だ」
時の首相とも会食できるほどの権力を持つようになったAは学校の校則に「ポニーテール禁止」を盛り込み始めた。
奇妙な校則を打ち立てる理由として「自分が父を殺害したトラウマを思い出すから」とは言えない。
Aは「ポニーテールは男性の気持ちを煽る」という理由をこじつけた。
奇妙な校則は日本中に広がるかのように見えた。
50代のA、ポニーテールを再発見する
2017年の夏、日本の全ての学校でポニーテール禁止という校則が強制されてはいない。
芸能界・政財界で強大な権力を持つAに逆らうなど保守的な学校業界では難しかったはず。
いったい何が起きていたのか。
転機はAが50代になった2010年の夏。
小さな、小さな一人の少女がアイドルグループで活躍していた。
少女は喧嘩だらけの女の子グループをまとめ、誰よりも練習し、誰よりもファンのことを見ていた。
グループメンバーの過ち、運営の杜撰さ、ファンの暴走。
全ての問題に対して少女は逃げずに立ち向かい解決していった。
若い女の子の集団に手を焼いていたAはそんな少女が大好きだった。
ある日、Aは少女が滑稽なポニーテールをしていることに気がついた。
身長150cmにも満たない小さな少女が不釣り合いなほど大きな髪飾りを付けている。
自然とAの視線は首筋ではなく髪飾りに向く。
その時、Aはポニーテールの女性を見て初めて首筋に注目せずにトラウマから逃げられたのだ。
「ポニーテールの人を見ても首筋ではなく髪飾りに注目すればいいんだ」
そう気づいたAはトラウマから解放され、ポニーテール禁止の校則を全国的に広める活動を止めた。
実は、Aがポニーテールの女性を見るたびに苦しんでいる姿を少女はいつも気にかけていたのだ。
「私みたいなバカな女が、バカみたいなポニーテールをすればA先生を癒せるんじゃないかな」
そこには少女の優しさがあった。
そして、2010年の夏。
トラウマを克服できたAは感謝の気持ちを込めて一つの歌を作り上げたのだった。
注意事項
この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
秋元康氏とも関係ありません。
なお、2017年7月から放送開始したドラマ「愛してたって、秘密はある。」の企画は秋元康氏です。
また、AKB48のメジャー16作目のシングル「ポニーテールとシュシュ」は2010年5月26日に発売されました。
高橋みなみさんの身長は148cmです。