
10年前の予測と現実のギャップ
2015年、野村総合研究所(NRI)は「10~20年以内に日本の労働人口の49%がAIに代替される可能性がある」と予測した。
特に単純作業やルーティン業務は真っ先に自動化され、ホワイトカラーの一部も例外ではないとされた。
しかし、10年経った今、実際には多くの職業がAIに仕事を奪われずに存続している。
一方で「AIには不可能」と思われていた分野が急速に代替されている。
なぜ予測は外れたのか。
引用先:日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に
予測が外れた職業① コンビニ、建設、ホテル
NRIの予測では、コンビニ店員や建設作業員、ホテル受付といった仕事は早期にAIに代替されると考えられていた。
しかし、実際にはどの分野も依然として人手に頼っている。
コンビニ:完全無人化のコストが高すぎる
セルフレジやキャッシュレス決済が普及したものの、完全無人のコンビニはほぼ実現していない。その理由は、
- 万引き対策や品出しの自動化が困難
- AIによる監視コストが依然として高い
- 顧客対応がゼロにできない(高齢者対応、エラー処理など)
建設:現場ごとに状況が違いすぎる
建設作業は、単純作業に見えて「毎回異なる環境での作業」が求められる。
現場ごとに異なる気候や地盤、設計、規制などがあり、AIロボットが柔軟に対応するには技術的ハードルが高い。
ホテル:トラブル対応が避けられない
ホテルの受付は無人化が進んだが、完全無人化には至っていない。なぜなら、
- 予約トラブルやクレーム対応が発生する
- 多言語対応や特別なリクエストへの柔軟な対応が求められる
- 高級ホテルでは「人の対応」が付加価値とされる
予測が外れた職業② クリエイティブ職がAIに代替された
一方で、「AIにはできない」と思われていたクリエイティブ系の仕事が急速にAIに代替されつつある。
「AIには創造性がない」というのは幻想だった
- AIは「人間の仕事を再現する」のではなく、「人間の仕事を最適化する」方向に進化した。
- 今のAIは、人間と同じ発想はしないが、「すでにあるものを組み合わせる」能力は人間以上になった。
- 「創造的な仕事だから安心」ではなく、「創造的な仕事ほどAIが得意」な時代になった。
例えば、AI作曲ツールは過去のヒット曲のデータを学習し、リスナーの好みに最適化された楽曲を作れる。
AIイラストは、膨大なアートスタイルを解析し、瞬時に描き上げる。
これは人間には不可能な速度と精度だ。
予測通り代替された職業
NRIの予測が的中した分野もある。
単純労働や定型業務は、予想通りAIや自動化技術によって縮小した。
「技術的に可能」と「実際に導入される」は別問題
一方で、クリエイティブな仕事がAIに代替される未来は、想定よりも早く訪れた。
「10年前の予測が外れた理由」を理解すれば、今後AIがどの分野を奪い、どの分野に人間が残るのかが見えてくるだろう。
AIの手にかかれば、1分で歌も作曲も完成する
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