女子大生でもわかる!ドイツ銀行と米司法省の和解金問題


ドイツ銀行の問題が世界的に話題

こんにちは!

経済誌キュレーションドットコムです。

世界中でドイツ銀行と米司法省を巡る報道と混乱が駆け巡っています。

いったい、ドイツ銀行どんな問題が起きているのでしょうか?

女子大生でもわかるドイツ銀行問題を見ていきましょう。

(注:12月23日、本記事の最後に結果を記した)

ドイツ銀行が米司法省から1兆4000億円も請求されている!?

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9月15日に米ウォール・ストリート・ジャーナル誌が米司法省がドイツ銀行に1兆4000億円の和解金を支払うよう要求したと報じました。

報道を受けてドイツ銀行は米司法省と交渉中であると認めます。

1兆4000億円と言えばトヨタの2017年3月期の年間の純利益の見通しの金額とほぼ同じ。

女子大生が買う14万円の指輪を考えれば、米司法省はドイツ銀行に1000万個の指輪を要求しているようなものです。

女子大生もビックリ、株式市場もビックリで2016年9月のドイツ銀行の株価はユーロ発足以来で最低を更新しています。

いったい、ドイツ銀行は何をしたのでしょうか?

世界の大手銀行はリーマン・ショックの原因ともされるある金融商品を不適切に販売

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米ウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道からちょうど6年前の2008年9月15日、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻して世界的な金融危機のリーマン・ショックが起きました。

当時、住宅のローンを頭の良い人たちが色々と複雑に作り上げて、アメリカ人みんなが銀行からお金を借りて住宅を買えるようになっていました。

お金を持っていない人も借金をし放題で住宅を買って住宅価格は上がり、それを担保にみんなが住宅をさらに買う。

そんなバブル状態に限界がきて、多くの人たちが銀行にお金を返せなくなってしまいました。

色々あって、最終的にリーマン・ブラザーズが破産して世界は大混乱に陥りました。

ここでアメリカの司法省は考えたのです。

世界中の大手銀行が住宅ローン担保証券(MBS)の仕組みをめっちゃ複雑にして投資家は危険がわからないのに買っていたのではないか?と。

米司法省は大手銀行が住宅ローン担保証券(MBS)を不適切に販売したと結論付けました。

そして、米司法省はゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、シティグループなど大手銀行を相手に民事訴訟を起こしました。

世界で商売をしていたドイツ銀行もアメリカの司法省に訴えられてしまったのです。

多くの銀行が訴えられているのに何故ドイツ銀行だけが大問題に?

実はアメリカの大手銀行は既に米司法省に和解金の支払いで合意しています。

モルガン・チェースは1兆3000億円、シティグループは7000億円、ゴールドマン・サックスは5000億円を米司法省に支払うことで合意しました。

ドイツ銀行にも米司法省から住宅ローン担保証券(MBS)の和解金の請求がきていることは多くの人が知っていました。

でも、リーマンショックはアメリカを中心とした経済危機ですよね。

ドイツ銀行は他のアメリカの銀行よりは和解金が小さくて済むと思っていた人が多かったのです。

なのに9月15日にドイツ銀行が1兆4000億円も請求されていると報道されて、みんながビックリしたのです。



ドイツ銀行は1兆4000億円を払わなきゃいけないの?

正式な発表があるまでわかりません。

9月からのドイツ銀行の騒動は報道をもとにしており、「最大で〜億円」「最小で〜億円」「〜の可能性もある」などの言葉を無視して反射的な動きが多いように見えますね。

冷静な専門家からは「既に米司法省に和解金を支払った他行のケースと比較してドイツ銀行への1兆4000億円は高過ぎる」との声もあります。

AFP通信は9月30日に米司法省がドイツ銀行に要求する和解金は最大140億ドルから54億ドルに大幅削減して合意に近づく、と報じておりドイツ銀行への和解金はそこまで大きくないかもしれません。

また、ドイツ銀行は2015年12月期の決算で法的問題のため5000億円超の引当金を積んでいます。

5000億円超の引当金の全てが米司法省向けではないでしょうが、ドイツ銀行は和解金の費用についてある程度の準備をしています。

ドイツのメルケル首相はドイツ銀行を救済しないとか言ってるよ?

9月下旬にドイツのフォークス誌がメルケル首相はドイツ銀行を支援しないとの記事を掲載しました。

ドイツ銀行が危なくなってもドイツ政府は助けてくれないのでしょうか?

はい、ドイツ政府はドイツ銀行を助けられないかもしれません。

欧州連合(EU)では2016年1月からベイルイン条項が発動しました。

ベイルイン条項とは銀行が危なくなったら政府が簡単に助けず、銀行にお金を渡している人が先に損をしましょうねというルールです。

銀行が潰れると経済が大混乱になるため、銀行の経営危機では政府がお金を出してあげることが多いのがこれまでの世の中でした。

でも、これって銀行で働いている人だけ助けられてずるくね?

みんながそう思ったので銀行の経営危機では政府がお金を簡単に出してあげるのはEUでは難しくなりました。

なお、政府が危なくなった金融機関に公的資金を出すのを「ベイルアウト」と呼びます。

ベイルインとかベイルアウトとか、マジンガーZの「パイルダーオン」みたいですね。



結局、ドイツ銀行は大丈夫なの?ダメなの?

それは誰にもわかりません。

2015年からドイツ銀行の最高経営責任者(CEO)になったジョン・クライアンさんと米司法省のトップの人たちに聞くしかないかもしれません。

また、和解金問題が引当金の範囲に収まってもドイツ銀行の苦戦は続きます。

日本で金融機関を苦しめていると噂のマイナス金利は欧州で先行しているのです。

かつて欧州最強の銀行と呼ばれたドイツ銀行の2015年12月期の最終損益は6800億円の赤字でした。

ドイツ銀行を含め欧州の銀行は金利低下で利ざやが縮小、リーマン・ショック後の不良債権処理が完全ではない。

日本の金融機関など比較にならないほどに欧州の金融機関は業績が低迷し、今は大きなリストラの真っ最中です。

ドイツ銀行は米司法省の和解金問題など関係なく、採算改善のためにドイツのコメルツ銀行との合併を目指すかもしれませんよ。

2016年のドイツ銀行の騒動をまとめると、和解金騒動についてはメディアの報道に振り回されすぎ、ただドイツ銀行の経営環境は上向きではない。

そんなところでしょうか。

【12月23日、追記】ドイツ銀行、12月22日に和解金を発表

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ドイツ銀行は12月22日、米司法省との罰金などについて7200億円で大筋に和解したと発表しました。

制裁金などに関連して2016年10~12月期に1170億円の費用を計上します。

当初の報道にあった1兆4000億円は大きすぎる金額でしたね。

また、2015年12月期に引当金で計上済みの部分が大きかったため、2016年10〜12月期で7200億円全額の費用計上には至りませんでした。

注釈

話を単純化するため、全て1ドル=100円で換算して日本円のみで記載。

ブルームバーグ、ロイターなどの報道ベースの金額などをもとに経済誌キュレーションドットコムがまとめた。

数字に間違いがあれば適宜修正する。




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5 Comments

  1. やはり、皆さん気にしますよね。私も女子大生でもわかる〜という題名には違和感を感じます。

  2. ここ最近突然「女子大生でもわかる」や「女子高生でもわかる」という題にしてる様ですが、炎上目的なんですか?

  3. タイトルに唖然としました。女子大生でもわかる?、今の時代を一番敏感に感じ取らないと生きて行けないのがメディアだと思っていましたが、時代錯誤甚だしいですね。どういう会社でこういう発言が許されるのか、興味はありますが。

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