繰延税金資産とは①「難しい」





ワイやで。

自画像はプロ漫画家の西アズナブル氏に無料で頂いたものやで(折に触れて宣伝しとくやで)。

今回は、会計の世界で難易度の高い「繰延税金資産」について説明しようと思う。

繰延税金資産の何が難しいって、会計士でも知識が曖昧な奴がおるで。

また、繰延税金資産は色んな姿を持っているので、一口では説明できん。

今回は10の顔を持つ繰延税金資産サンの最も基礎的な顔を紹介するんやで。

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有識者の諸君は繰延税金資産の説明の困難さを理解してくれると思う。

この記事は長くなったが、わかりやすく書いたつもりや。

意図的に途中では間違えた表現をしている。

最初に書くが、繰延税金資産の説明はクッソ難しい。

なんでワイ、こんなことをしてるんやろ。最後に補足はした。

繰延税金資産?そんな枝葉の知識が一般の私たちに必要ですか?

ええ質問や。

繰延税金資産が企業にとってどんな影響があるかを説明しよう。

大手総合電気メーカーのパナソニックの2012年4〜9月期の決算を見てみよう。

売上高は3兆6381億円、営業利益は873億円。

しかし、最終損益は6851億円の大幅な赤字だった。

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この大幅な赤字の原因は、「4125億円の繰延税金資産の取り崩し」によるものだ。

単純に言うと、4125億円がパナソニックの損益にとってマイナスになった。

うわ…繰延税金資産の影響、大きすぎ…?

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お分かり頂けただろうか。

繰延税金資産とは企業業績に大きな影響を与える。

最近では、家電量販店のコジマが繰延税金資産の取り崩しで大幅赤字になると発表したな。

繰延税金資産を知らないと、

「私の会社って純資産が超あるからヘイキだし〜」

「俺は営業利益が黒字だから無敵だ、ガンダムだ!」

そんな安易なトークが広がる。

しかし、パナソニックの例を見るように、繰延税金資産を取り崩すことで、一気に財務体質は悪化する。

営業利益が黒字なんてどうでもよくなる。

なお、某電力会社(関西電力)で働いているオニャノコに

「あたし、15年6月末の利益剰余金は5602億円あるの。でも、固定資産の繰延税金資産が4708億円あるのはヒ・ミ・ツ♡」

とか耳元で囁かられたら、落ちかねん。

はやく、説明始めろや

スマンな。

繰延税金資産は難易度高いから、ゆっくり学んでいこう。

繰延税金資産とは何か。

一番わかりやすい例えが「税金をかなり早めに払ったお金」かな。

売上高が毎期100億円の株式会社ネコで考えてみよう。

面倒くさいから費用は一切ゼロや。

税率は40%にしておこう。

さて、2016年3月期は売上高100億円、費用ゼロとする。

利益はそのまま100億円だな。

税率が40%だから税金が40億円や。

そうすると、純利益は60億円となるな。

ここはただの掛け算と引き算やで。

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いくで。

ここで、株式会社ネコは取引先の株式会社ウーパールーパーから100億円貰える権利を持ってると仮定する。

この前の講義で受取手形について学んだ人は、受取手形そのものと思っていいぞ。

どうも、ウーパールーパーは人気がなくて金を持っていないらしい。

100億円貰うのを諦めるとしよう。

ここで、ネコウーパールーパーから100億円を貰うのを諦めるんや。

ネコは100億円を貰うことを諦めることで、100億円を費用とする。

重要なのはネコは心で諦めたけど、法律上では何も確定していない。

ウーパールーパーが100億円払えないことが法律上で確定するのは10年以上も先のことかもしれない。

ただ、現実的にはウーパールーパーは100億円払えないのが明らかなんや。

ネコから見ても、ネコの監査人(会計士)から見ても絶対。

超自信ある。

誰が見てもウーパールーパーは100億円を払えない(断言)。

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よし、じゃあ、ここでネコと監査人が相談して、現実に即した損益計算書を作ろうじゃないか

さきほど、2016年3月期は売上高100億円、費用ゼロ、税金が40億円、純利益は60億円といった。

売上高100億円は変わらん。

ただ、費用としてウーパールーパーへの債権を諦める100億円を出そう

そうすると売上高100億円に対して費用も100億円。

当然に純利益は0円になるな、仕方ないよね。

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ここで、税務署サンの登場や。

ネコも監査人も「100億円はウーパールーパーから取れねえな、諦めようぜ」って握手したのだが、税務署は違うんやな。

税務署「かってに費用を計上するのってズルくね?脱税じゃね?」

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なるほど、税務署と監査人とは見方が違うわけや。

一般的に、企業の経営者って利益を大きく見せたいよね。

すると会計のルールでは、「売り上げを大きく見せたり費用を小さく見せるのはワイの目が許さん」ってなるんだな。

しかし、税務署はこう言うんや。「売り上げを小さくして、費用を大きくするのって脱税やろうが!許さへんで〜!」

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会計が間違っているのか?
税務が間違っているのか?

どっちも正論なんやで。

お互いの立場で、理にかなっていることを企業に対して言っているんや。

さて、どうしたもんやろうか。

ここで、折衷案として登場するのが「繰延税金資産」くんや。

じゃあ、もう一回、さっきの例にもどろうか。

売上高は100億円。ウーパールーパーへの債権を諦める費用で100億円。

ここは会計側が譲れない。

税務署ハンはウーパールーパーへの債権の諦め費用100億円を認めない。

ネコの利益は100億円だかた税金を40億円とすることは断固として譲らん。

会計側としては困ったもんや。

売上100億円、費用が100億円、利益はゼロ円なのに、税金が40億円かかる。

最終損益は40億円の赤字になるな。

何が困るって、税務署ハンもウーパールーパーが自己破産とかした時には100億円を費用として認めてくれるんや。

まいったな、会計と税務でウーパールーパーへの諦め費用の100億円のタイミングがズレるな。

ここで名案を思い付いた。

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「この税金40億円って、税務署ハンがいつかは認めてくれるじゃん。会計上は、この税金40億円のマイナスを後で精算しちゃえ」

ようやっと、繰延税金資産くんの登場や。

ここまで、半分以上の読者が脱落したんじゃないかな?




現在の会計処理を記そう。

売上高は100億円、ウーパールーパーへの債権の諦め費用を100億円。

利益はゼロ、でも税金は40億円。

この40億円はそのうち税務署が認めてくれるから帳消しにする。

後で、40億円を税務署が認めてくれるから資産として40億円を計上するんや。

損益計算書上では「法人税等調整額」って名前なんやけど、この分を繰延税金資産として資産にするんや。

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なんでこの40億円が資産なのか?

税務署が認めてくれる未来に、40億円の税金を(会計上は)払わなくていいからだ。

今度は、ウーパールーパーが10年後に自己破産して、法律上でもお金の権利が無くなった場合を考えよう。

ネコの2026年3月期の売上は相変わらず100億円や、費用は相変わらずゼロ円や。

利益は100億円で税率は40%だから税金は40億円、純利益は60億円やな。

あれ?ウーパールーパーが自己破産したから、税務署がウーパールーパーへの債権の100億円は費用だと認めてくれたようだぞ?

すると、ネコの2026年3が月の売上は100億円、費用ゼロ円で利益は100億円。

ただ、ウーパールーパーへの債権の諦め費用の100億円を税務署が認めてくれたから、税金はゼロ円になる。

純利益は100億円になるな、ラッキー。

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なんか、凄えズレるやん。

税引き前の利益が100億円で税引き後の利益も100億円じゃん。

この辺のズレを上手く調整したいやん?

なので、2026年3月期の損益計算書ではこうするんや。

売上は100億円、費用はゼロ、利益は100億円、税金は40億円かかる。

でも、10年前にこの税金40億円はワイが読みきっていた。

ここで繰延税金資産を使う。そうすると、帳尻があう。

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繰延税金資産とは以上のように会計と税務のズレを調整する資産勘定だ。

今日はここまでにするが、これからもっと複雑で重要な話が待ってる。

えっ!?よくわかんないんですけど

最初に例を出したパナソニックの意味に触れることさえ出来ていないからな。

将来の所得の見積もりとか、4項ただし書きとか、今はASBJで改正が進んでいるとかまで話を進めるのは夢のまた夢。

繰延税金資産ほど、ワイらの心をかき乱す存在はないんやで。

どうだい?ワケわかんねえだろ。

説明に失敗したのではないのですか

鋭い指摘だ。

正直、今回は滑ったと思う。

ここまで読まずに諦めた人も多いのではないだろうか。

難しいな。ちょっと、これはまた分かりやすい例とか説明を考えるわ。

今回の説明だと、わかっている人がわかって、わかんない人がわかんないだろうな。

ワイも、クッソ忙しいのに中途半端な説明で何やってるんだろうと思うわ。

〜〜免責・注意事項〜〜

多少の下書きはあった。月曜と火曜で忙しかったのに、無理してアップした。大幅に間違っとるかもしれん。ご指摘頂いたら直す。

てか、この文章を全部読み切った人って、繰延税金資産を知ってる人じゃね?

過去記事の内部留保とか減価償却とかはうまく説明できた自信あったけど、今回はこけたわ。

繰延税金資産の解説は続けるので、誰かアドバイスをくれ。

繰延税金資産でナンパしたことある奴はワイぐらいしかいないと思って自信あったんだけどなあ。




◾️追記なんやで

◾️コメントに溢れる、よくわからん

ワイの説明不足だわ。って言うか、説明はマジで難しいわ。

繰延税金資産の説明は、宮台ッチのラジオ書き起こし以上の長さが必要だと思う。

正直、この記事を7割書いてた時に、「これ伝わんねえわ。全部消すかな」って思った。

ワイが承認欲求ゾンビだからアップしただけや。

◾️先取特権が何とか

ワイの専門分野やないで。法律系の人に聞いてくれ

◾️kaikei VS zetumu に見えた

全く意識してないやで。たまたま「税務ってアルファベットでzeimu。あれ?有名な論客に似てね?」とか思ってないで。

でも、急いでいたから、本人のアイコンとか確認してないで。

◾️俺は繰延税金資産を知っている、でも説明できない

サンキューやで

◾️時間かけたやろ!?

ワイとお前は、これから簿記2級を丁寧に説明するんやで

◾️こっちでもteppei

「法人税等調整額」だと純粋な会計士しか知らないんやで。「繰延税金資産」だと個人投資家とかにも有名な言葉になるんやな。難しいやな

◾️NPって会計士多いよな!?

なんで多いんやろ。ワイら以外の誰かが分析頼むで。

弁護士とか税理士のほうが、自分の名前を売ることでお金を稼ぐことにプラスになるんだがな。

普通の会計士はサラリーマンなんで、ネットで名前を売っても金を稼げないのだが。

◾️ナル氏

99likeが来てないで?




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3 Comments

  1. はじめまして!
    投資に関するサイトをやっている橋川といいます。
    繰延税金資産の記事をリンク先として、自サイトで紹介したいのですが、よろしいでしょうか?よろしくお願いします。

    • お、まったく気付いてなかったで。
      構わんけど、返信おそかったな。すまんやで。

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