ワイやで。
前回の記事では絶賛の嵐をありがとうございます。ハードルが上がったので今回は記事の質を落として批判されようと思う。では、第二回目は「粉飾決算」について語る。前回の内部留保と同様に、会計とメディアの世界において誤解がある部分だ。文中では全て「粉飾」で統一する。文末に免責注意事項を記したので有識者の方にはご確認頂けるとありがたい。
▪️粉飾って何や
粉飾とは、企業が決算の数字を好き勝手に操作することだ。わかりやすい粉飾の例が、架空の売り上げだ。製品が売れてもいないのに売上高の金額を大きくして企業の業績を良く見せる。架空売り上げを続ければ、どんな不振事業でも利益が出ているように見せることができる。
お金を払っているのに費用にしない、大きな損失が出ているのに隠すことなども粉飾となる。費用を小さく見せれば、利益が出ている立派な企業だと人々に思わせることができる。粉飾とは実力以上に自分を良く見せること。企業にとっての美容整形と言える。
昨今では東芝が粉飾をした企業として有名だ。過去にはオリンパスやカネボウ、ライブドアなども知名度が高い。粉飾には誰がやったかという分類もある。経営者トップだけがこっそり行う粉飾、経営者の厳しい命令に従うために部下がやる粉飾などがある。経営者は関係なくとも、従業員が会社の金を盗むことで、結果的に粉飾となることもある。
▪️メディアはなんで不適切会計とか言うんや、みんな粉飾やろ?
「不適切会計という表現はおかしい。粉飾と言うべきだ」という論調が多い。これは、前回の記事で説明した内部留保と同じ問題が起こっている。粉飾という言葉はメディア用語であり、会計・法的に厳密な言葉ではない。
会計監査では企業が嘘の数字で決算をした場合は「この決算書は不適正です」と表現する。「この企業は粉飾、この企業は不適切会計」という区分はしない。会計上で粉飾関連の言葉とは、意図的な嘘を『不正』、意図しない嘘(うっかりミス)を『誤謬』と分類する。
東芝の第三者委員会の報告書を読むと、調査委員も「不正、誤謬」という言葉を使っていた。ただ、不正と誤謬の間には大きなグレーゾーンがあり、そこを判断するのは心理学者のような能力も必要となる。なお、粉飾や不正などを法的に表現すると、有価証券報告書虚偽記載罪、詐欺罪、特別背任罪などと言う。
大手メディアは各自で粉飾を定義しているようだ。7月21日付の日経新聞によると「損失隠しや利益の水増しが組織的に行われ悪質性が高くなると「不正会計」、刑事告発されて事件になれば「粉飾」と呼ぶのが一般的だ」としている。これが一般的かどうかという議論については、100%の正解はない。7月当時では、朝日が「不正決算」、毎日が「不正会計」、産経が「利益水増し問題」などと表現していたようだ。ただ、これらは言葉遊びで会計上も法律上も意味は無い。粉飾か不適切会計か。それは神学論争だ。
▪️粉飾って何でするんや
当然だが、粉飾には発覚したときのリスクがある。そのため、好調な企業が粉飾をすることは少ない。粉飾をするのは存続するのが難しい企業だ。債務超過目前や銀行からお金を借りられなくなるなど追い詰められた状況で、パニックに陥った企業経営者によって粉飾は起きる。
▪️小僧寿しも粉飾なんか?
持ち帰り寿司を展開する上場企業の小僧寿しは10月2日、不適切な会計処理について調査委員会を設置すると発表した。それ以前に、小僧寿しは今年の3月31日にも内部統制の開示すべき重要な不備(会社の仕組みが雑です)に関するお知らせを出している。現時点では小僧寿し全体の問題はわからない。ただ、10月2日の件に関しては小僧寿しの会社自身は被害者の可能性が高いと思う。
会社リリースでは「一部 の取引業者との仕入取引において、取引先より当社に出向していた者が架空取引による不適 切な仕入高の計上および支払処理を行っていた可能性」とある。これは、会社が決算の数字を良く見せようとする粉飾とは種類が異なりそうだ。
一般論として、会社とその取引先の従業員同士が結託することで、会社のお金を着服するという事件は世の中にある。従業員が会社のお金を着服した瞬間に見つけることは困難ではあるものの、いずれはお金の流れが不自然になることを隠しきれずに不正が発覚する。
▪️東芝問題では会計士はどうなっとるんや?
上場企業は法律上、決算において第三者のチェックを受けなければいけない。企業の決算のチェックを担うのが会計士(その集団が監査法人)だ。東芝問題など粉飾事件が起きるたびに会計士を批判する声があふれる。東芝問題においては、担当する会計士たちの責任は証券取引等監視委員会(SESC)、会計士協会などからのチェックが入る。東芝を担当した会計士の責任の追求はこれから始まる。現時点で東芝を担当した新日本監査法人の責任は誰もわからない。
▪️話広げすぎた、次回は絞るわ
粉飾という言葉は内部留保と同様に定義の曖昧なメディア用語だ。ただ、内部留保という言葉は無くすべきと自信を持って言えるが、粉飾という言葉は必要だと思う。
一般的に粉飾と表現される行為は社会的に問題のある行為だ。何が粉飾か不適切会計かという論争に大きな意味はない。粉飾の中身を突き詰めていくべきだろう。
▪️でぃすくれーまー(免責注意事項)
何か書くか、っていう気持ちだと上手くまとらない。粉飾について書くか、と思ったらまとまらなかった。スマンな。
言葉を平易にしたつもりや。会計士の中での専門トークには不安ニキ。ワイは会計の世界を平易に伝える方向によるんや。専門世界のさらに専門を極めるのはワイ以外のみんなに任せる。
土曜の夜中に酒飲みながら書いた。事実誤認とか誤字脱字があるかも。こっそり直していくんで、ヨロシク。
前回の内部留保みたいに、「くそう、みんな誤解してる。ワイが伝えねば(使命感×使命感)」みたいなモチベがないと散漫になるな。
これで一回ハードル落としてから、また何か書くわ。みんなヨロシクな。
超大事なことを書き忘れていた。東芝の粉飾が犯罪に該当するかどうかの調査は今しているところや。どんな結果になるか、現時点では東芝も調査するSESCもわかってないで。
「美容整形の例えはどうなん?」ってのはその通りやで。美容整形は適法で粉飾は違法やからな。わかりやすい(わかりやすい)例えで言うと何が適切なんやろな。
コメント欄で記事が幅広がってありがたいで。ワイが立てた木に花が咲いていくようやな。こういう現象をナントカって言葉はあるのけ?
不正がデカイと不適正意見、誤謬でもデカイと不適正意見とかその辺は飛ばしたで。本記事に全部入れると宮台ッチのラジオ書き起こしみたいになるからな。