「素直になること」は重要も、人類にとって難易度が高い ヤバTが持つ「素直に生きる力」
「悪いことをしたのに気がついたら、素直に謝らなくてはいけないよね? その相手がたとえ、バイキンマンであっても」
国民的人気アニメ「アンパンマン」で有名なジャムおじさんの言葉だ。
日本に限らず世界でも「素直になること」は人間にとって重要だという名言は事欠かない。
これほどに社会で「素直さ」が重要だと言われ続けているのは、裏を返せば素直になることが難しいからだ。
特に社会的な知名度を獲得したミュージシャンならば素直になる難易度は格段に上がるだろう。
そんな中、2019年末の紅白で初出場を目指しているのが若者に人気の3人組バンド「ヤバイTシャツ屋さん(通称:ヤバT)」。
尖らない実直なミュージシャンのヤバTが持つ「素直に生きる力」は、令和の日本にやさしい世界を作り上げる。
ヤバTがNHKとコラボ 「思い返すと いつでも僕らのそばに いたんだNHK」
【NHKとヤバTのコラボソング「案外わるないNHK」】
ヤバTは2018年、NHKとのコラボキャンペーン「『ヤバT×NHK』~公共放送のこと、知ってほしい!~」を実施した。
キャンペーンのコラボソングとして書き下ろした楽曲が「案外わるないNHK」。
ミュージックビデオではヤバTの3人組がNHKの渋谷放送センターを縦横無尽に駆け回る。
「案外!わるない!N!H!K!」との叫びから始まる歌は、NHKのキャラクターを紹介してアナウンサーの技術を褒めていく。
さらに1996年6月26日放送の「おかあさんといっしょ」で、ヤバTのギター・ボーカルのこやまたくま(当時3歳)が出演していたのも明らかにする。
【ヤバT「案外わるないNHK」の歌詞の一部】
お硬い おもんない つまんないイメージ
融通きかない まじめなイメージ
払拭したいみたいやで思い返すと いつでも僕らのそばに いたんだNHK
子供の頃から ずっとずっと 思い出と共に
これからも共に
NHKが持つキラーコンテンツと言えば絶大な視聴率を誇る年末の紅白歌合戦だ。
「紅白出場」を目標にするアーティストは多く、近年ではジャニーズ、AKBグループなどアイドルとミュージシャンの出場枠の争いも激しい。
一方、「紅白に出たい!」と公に宣言しないプライドの高いミュージシャンもいる。
本人は紅白など意識していないフリをするも、裏では紅白出場に向けてマネージャーが奔走している場合もある。
しかし、ヤバTは正々堂々とNHKにおもねる。
紅白出場を目標に掲げ、NHKとコラボして「案外!わるない!N!H!K!」と叫ぶ。
飾らず、斜に構えず、大物ぶらず。
ヤバTのその素直さは多くの人の心を打つ。
「NHKをぶっ壊す」か「案外わるないNHK」か ヤバTが政争に巻き込まれる可能性も
【2018年末の紅白歌合戦のタイムテーブル】
いよいよ今夜“平成最後の紅白”が最高のメンバーではじまります!
【見どころタイムテーブル】を公開!是非ご活用下さい!
#NHK紅白 pic.twitter.com/8D0Vh4SyaI— NHK紅白歌合戦 (@nhk_kouhaku) December 31, 2018
ヤバTがNHKとコラボした2018年から1年後、NHKを取り巻く状況は大きく変わった。
2019年7月の第25回参議院議員通常選挙ではNHKから国民を守る党(N国党)の立花孝志党首が当選。
「NHKをぶっ壊す」のスローガンのもと、NHKの公共放送としてのあり方に批判を続けている。
N国党が一定の民意を手にしたことでNHKに対する批判の声がインターネットを中心に大きくなった。
NHKが若者の人気を獲得しようとして、ヤバTの曲「案外わるないNHK」を前面に打ち出せば、愉快なコラボソングが政争の道具に使われかねない。
もっとも、2019年9月時点でのヤバTの代表曲と言えば「あつまれ!パーティーピーポー」と「かわE」、「ハッピーウェディング前ソング」だ。
素直に生きる力を持つヤバTであれば、紅白で似合いそうな「ハッピーウェディング前ソング」を選び、NHKホールで高齢者たちと「キッス!」「入籍!」と叫び合うだろう。