「ちはやふる」の真島太一は「ダイの大冒険」のポップだ
漫画「ちはやふる」の真島太一は漫画「ダイの大冒険」のポップである、というお題(ダイ)について語ってみよう。
どちらも共通するのは物語の中で作者の想像を超えて成長し、主人公を喰った、という点である。なお、ダイの大冒険とは1990年代にヒットしたドラゴンクエストをテーマにしたジャンプの漫画
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
ダイの大冒険の主人公は勇者の「ダイ」だ。ジャンプの漫画よろしく、めっちゃ努力もするし血統も凄い。ザ・ジャンプの主人公という感じ。一方、ポップは序盤は卑怯で姑息な魔法使い。勇気のダイと小賢しいポップのコンビで戦っていた
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
しかし、物語は終盤に向けてポップ中心で動き出す。中盤でダイが強くなりすぎて主人公が成長するシーンが見えにくくなった。一方、ポップは序盤が駄目な奴だっただけに伸び代がデカい。ウザい魔法使いが、こんなにもたくましく成長するのか。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
5人の正義の使徒が必要な場面でポップが告白するシーンなど、かなり最後までポップはカッコ悪くカッコ良い。綺麗にカッコ良かったのは大魔法バーン戦のあたり。原作者も考えていたようだが、「ダイの大冒険」とは「ポップの成長物語」であるのは多くの人間が認めるところ。ここで、ちはやふるである
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
ちはやふるは当初、綾瀬千早と綿谷新の二人の物語として始まった。しかし、物語が進んでいくうちに、真島太一の存在感がドンドンと増していく。漫画や小説ではキャラクターが作者の意図を超えて動き出すのは日常茶飯事。ただ、真島太一は作者の想定を超えて成長を始めた。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
おそらく、当初は千早の恋の相手である新のカマセ役が太一だったのだろう。部活をちゃんとまとめて千早を好きな幼なじみ。そんな役どころ。しかし、千早たち瑞沢高校がチームとして勝ち抜くためには、破天荒な性格の千早だけでは全国トップに上り詰めることは不可能だった。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
部長である太一が強いから瑞沢はチームとしても強い。そんな展開をするたびに太一の漫画内での役割が大きくなっていく。そして、ちはやふる最高の名言と言われるセリフがでてくる。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
かるたの原田先生が太一に向けたセリフだ。
「青春ぜんぶ懸けたって強くなれない?懸けてから言いなさい」
このセリフは「ちはやふるの名言」として徐々に漫画の大きなテーマに変わっていく。ファンなど周囲が大きく取り上げることで、作者の末次由紀先生にとっても意味が変わったのではないか
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
それはちはやふるの単行本で言えば37巻の部分に出てくる。原田先生と太一の対決シーン。原田先生は太一がかるたに復讐するために戻ってきたのではないかと推測して言う。
「それだったらあれだよな 復讐したいとすれば 私にだよな」
あの言葉が太一にとって呪縛になってしまったとの気遣いだ。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
その原田先生の名言は、原作者の末次由紀先生にとっても呪縛になってしまったのではないか。漫画でたびたび使った言葉、周囲にも素晴らしい名言として絶賛されるセリフ。その言葉を生かすためには、真島太一を腐らせるわけには、捨てるわけには、輝かせないわけにはいかない。
そうなのだ。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
「青春ぜんぶ懸けたって強くなれない?懸けてから言いなさい」
この言葉を守るためには太一ができることは?
青春ぜんぶ懸けるしかない。しかし、漫画において恋愛では太一は新に負ける一方だ。部活も逃げ出してしまった。
太一は青春をぜんぶ懸けずに新に破れるのか?
太一はあの言葉に負けるのか
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
ファンは太一の敗北を見たくないだろう。
なぜか?
ダイの大冒険に立ち戻ろう。物語の主人公となったポップは、序盤は姑息なズルい奴で弱い奴だった。
そうだ。
真島太一もまた、序盤は姑息なズルい奴で、弱い奴だったのだ。そんな太一が瑞沢高校の部長として千早だけでなく仲間を引っ張った。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
小学生の時に強い敵に勝つために相手のメガネを盗んだ太一は、まるで強い敵を前にして鼻水を垂らして逃げ出していたポップそのものじゃないか。
ポップは主人公のダイと共に戦って、成長した。
太一も主人公の千早と共に戦って、成長した。
恋愛の要素を除いてしまえば、真島太一はポップなのだ。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
ポップは男であり、主人公のダイの最高の親友として物語を終えた。
しかし、ちはやふるは違う。主人公の千早は女であり、太一がどうしても好きだった女だ。そして、物語は千早と新が結びつくような流れで進んでいる。
太一は勝てないだろう。かるたでも新に負けて、恋愛でも新に負けるだろう。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
原作を何度も読んだファンなら思う。太一が試合でも恋愛でも一位になる展開は無理だ。
ちはやふるが売れずに、すぐに打ち切りになる漫画であれば、早々に新と千早がかるた名人になって、二人で付き合って終わっただろう。
しかし、ちはやふるは実際の競技かるた人気に火をつけるほど影響力がある
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
ここまで人気の出た漫画をどう畳むのか、作者としても嬉しい悲鳴と言わざるを得ないだろう。
そして、ちはやふるがここまで人気が高まった大きな要因が真島太一だ。太一の弱さを千早は知らなかったが、読者は最初から知っていた。
誰よりも強い千早、新ではなく太一の成長こそが「ちはやふる」だ
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日
太一が漫画でどんな結末を迎えるにしても、ちはやふるファンは受け入れるだろう。太一の頑張りに、無様な姿勢をさらしながら青春ぜんぶ懸けた姿勢を祝福する。
ここで、映画「ちはやふる 結び」だ。
この映画は全てのちはやふるファンにとっての救いである。
運命に抗った太一への祝福なのだ。
— kaikei@FF外から失礼する2.0 (@CmKaikei) 2018年4月8日