若者にとって最大級の人気を誇る女性ミュージシャン「あいみょん」 おっさんにも懐かしのメロディー
2019年、若者にとって最大級の人気を誇る女性ミュージシャン「あいみょん」の曲は昭和や平成を駆け抜けたおっさんにもウケるだろう。
あいみょんの作る音楽は前衛的な作詞に力強い歌声、美しい旋律と音楽の全てが揃う。
音楽を聞かないおっさんでも「マリーゴールド」のサビ「麦わらの〜帽子のき〜みが〜」の部分は耳にしたことがあるのではないだろうか。
作詞では現代っ子らしく過激な部分もある、あいみょんだが作曲においてはJPOPの歴史で正統派のど真ん中にある。
昭和後期、平成初期の匂いがするあいみょんの名曲はおっさんに優しい。
経済誌キュレーションドットコムはアラフォーおっさんが大好きだったであろう歌手とあいみょんの曲を並べて解説する。
なお、あいみょんが尊敬しているアーティストやパクリ疑惑についての反論は本記事の最後に記した。
目次
ゆず・スピッツ「マリーゴールド」
相川七瀬・ラルク「貴方解剖純恋歌〜死ね〜」
たくさん「君はロックを聴かない」
イエモン「生きていたんだよな」
王道のDNA「パクリではない」
ゆず・スピッツのように草原が広がる 代表曲「マリーゴールド」
あいみょんの代表曲と言えば「マリーゴールド」。
ゆったりとしたテンポで耳心地の良いあいみょんの声が心に響き、目を瞑ってサビを聞けばそこには草原が広がる。
JPOPで「草原広がる系」の代表と言えばゆずとスピッツだろう。
マリーゴールドはスピッツの「ロビンソン」のように郷愁を感じさせる草原を展開。
ゆずの「栄光の架け橋」のように草原と大空の組み合わせで大自然の偉大さを感じさせる。
マリーゴールドの特徴は何周も回って、やっぱり名曲と思わせる強さだ。
有名な曲のため、あいみょんの入り口は「マリーゴールド」になりやすい。
あいみょんの曲をいくつも知り、通勤時間で気軽に聞いていくと何週間後に気づく。
「改めて思うけど、やっぱマリーゴールドは名曲だわ」
夢みる少女じゃいられない 相川七瀬とラルクより攻撃的な「貴方解剖純恋歌〜死ね〜」
相川七瀬、L’Arc-en-Ciel好きのおっさんにオススメなのがあいみょんの歌で最も攻撃的な作詞の「貴方解剖純恋歌〜死ね〜」。
狂うほどに相手が好きで、好きで好きで仕方なかった人間の心情を歌う。
歌詞の一部を抜粋するだけでもその過激さがわかるだろう。
貴方の両腕を切り落として 私の腰に巻きつければ あなたはもう二度と 他の女を抱けないわ
あなたの心臓をえぐりとって 私のネックレスにしたなら 私が眠るその時まで あなたを感じられる
これぐらい相手が好きなんだ、好きで好きで仕方なかった、という心情が確かに伝わる。
女性が攻撃的に歌い上げる様子は相川七瀬、狂気をまとうオーラはL’Arc-en-Cielのhydeのよう。
曲調はアップテンポで相川七瀬好きのおっさんにとってはお馴染みのリズム。
ギターの流れと間奏の音の運び、畳み掛けるようなドラムの使い方はL’Arc-en-Cielを思い出させる。
アラフォーおっさんに直撃 あいつらを思い出す懐かしの王道「君はロックを聴かない」
ギターやベースの音は小さめに、丁寧なドラムのエイトビートで始まるAメロ。
サビの前の布石としておかれるBメロ、声に力を込めて曲の空間を広げるサビ。
アラフォーおっさんにとって、ど真ん中の曲調なのが「君はロックを聴かない」。
1990年前後に流行した音楽を思い出させる名曲だ。
FIELD OF VIEW「突然」、DEENの「瞳そらさないで」、WANDSの「時の扉」。
「君はロックを聴かない」を聞いて懐かしさを感じる人はアラフォーだろう。
名曲である。
乗客に日本人はいませんでした! 現代版イエモンのJAM「生きていたんだよな」
一つの歌詞が多くの人の記憶に残ることがある。
「乗客に日本人はいませんでした」
ザ・イエローモンキー(イエモン)の名曲「JAM」の一部だ。
そのイエモンのJAMの現代版とも言えるのがあいみょんの「生きていたんだよな」。
あいみょんはこの歌で、飛び降り自殺した一人の女性の姿を描く。
事件を知らせるニュースによって「たちまちここらはネットの餌食」になる。
人の死を楽しむかのような大衆をよそに、あいみょんはその女性に対してこう歌うのだ。
ああ「今ある命を精一杯生きなさい」なんて綺麗事だな
精一杯勇気を振り絞って彼女は空を飛んだ
鳥になって 雲をつかんで
風になって 遥遠くへ
希望を抱いて飛んだ
あいみょん、王道を継ぐが故のパクリ疑惑との批判 尊敬するのはスピッツの草野マサムネ
あいみょんの曲はJポップの王道をゆくだけに、「パクリ疑惑」との批判も受けてしまう。
代表曲「マリーゴールド」は1999年のゲーム「メダロット2」、もしくは小沢健二が1995年に発売したシングル「さよならなんて云えないよ」に酷似していると言われた。
もっとも、音楽通にとってこの批判は「JPOPのど定番のカノン進行なんだから似ている曲はあるに決まっている」で結論は付いている。
(参考:あいみょんが「パクリ」と言われてしまう経済的なワケ)
これまで見てきたように、あいみょんの曲調(コード進行)は王道・定番を採用するがために似ている曲は無限にあるだろう。
奇をてらって独創性のある曲調を生み出しても聞きにくい未熟な音楽が生まれるだけ。
あいみょんは「他の曲に似ている」との批判を恐れず、王道のコード進行で名曲を生み出し続けている。
また、2019年4月の音楽番組「関ジャム 完全燃SHOW」に登場したあいみょんは影響を受けたアーティストについて「スピッツの草野マサムネさんが私の神様」と即答した。
音質の悪いビーチで遠くからあいみょんの曲が流れると「ん?スピッツかな?」と聞こえるのは偶然ではない。
思い出せば、スピッツもデビュー当初から「なんか懐かしい音楽な気がする」と言われたものだ。
あいみょんもまた、「こんにちは、おっさん」と呼びかけるような優しい歌を歌い続けるだろう。