世界平和のヒントがバンド「ヤバT」に 百歩下がって優しい世界「ざつにどうぶつしょうかい」 ヤバイTシャツ屋さん





ロックバンド「ヤバイTシャツ屋さん(通称:ヤバT)」、一見するとふざけた歌詞で若者に人気

世界平和への道筋はどうやったら描けるのか。

人類が悩む最大級の問題に対して日本のロックバンドが一つの答えを生み出したのかもしれない。

2019年に人気が急上昇してメジャーな存在になっているのがロックバンド「ヤバイTシャツ屋さん(通称:ヤバT)」だ。

ヤバTは男性のボーカル(ギター)、女性のボーカル(ベース)、男性ドラムの3人組で構成する。

一般的に「メロコア」と呼ばれるキャッチーな曲調ながら、歌詞はこれまでの日本のミュージシャンと大きく異なる。

代表曲の一つ「かわE」では「君はかわE越してかわFやんけ」「恥ずかC越えて恥ずかDやんけ」など若者言葉をさらにズラして表現。

ライブで盛り上がる「ハッピーウェディング前ソング」では「ノリで入籍してみたらええやん」と歌い上げ、サビ前には「キッス!キッス!からの入籍!入籍!」と盛り上げる。

一見するとふざけた歌詞と力強く技術のある音楽の組み合わせが若者に大人気だ。

そんな「ヤバイTシャツ屋さん」の曲の中でも、特異な存在感を放つ「ざつにどうぶつしょうかい」に世界平和のヒントがあるのではないだろうか。

ヤバTの楽曲「ざつにどうぶつしょうかい」はまさに雑 歌詞は「キリン首ながい」「ゾウ鼻ながい」と単純

【ヤバイTシャツ屋さんが出演する住宅情報サイト「SUUMO」の新テレビCM「スーモとヤバT お宅訪問」編が8月17日より放送される】

ヤバTが2018年5月16日に発売したメジャー3枚目のシングル「げんきいっぱい」に収録されている曲が「ざつにどうぶつしょうかい」。

タイトル通りになんとも雑に動物を紹介していく。

【ヤバTの曲「ざつにどうぶつしょうかい」の歌詞の一例】

キリン 首ながい
ゾウ 鼻ながい
ウサギ 耳ながい
テナガザル 手ながい

カメ 走るの遅い
ウマ 走るの早い
カタツムリ 走るの遅い
ヘラジカ 走るの早い

キリンは首が長い、ゾウは鼻が長いと動物の単純な特徴をあげ、まるで子供向けの歌詞のままでロックバンド風に歌い上げる。

曲の序盤では動物の特徴をあげているものの、途中からは「カニ、おいしい」「タコ、おいしい」「イヌ、かわいい」「ハムスター、かわいい」とさらに雑になる。

ここで歌が終われば子供向けの曲とも言えるが、「ざつにどうぶつしょうかい」で最後にヤバTが紹介する動物は「ヒト」だ。

ここに、ヤバTの歌詞の深淵な狙いが存在する。

【ヤバTの曲「ざつにどうぶつしょうかい」でのヒトの紹介】

ヒト 服きてる
ヒト おしゃれする
ヒト しゃべれる
ヒト 涙をながす
ヒト 笑いあう
ヒト 助けあう
ヒト いつか死ぬ
ヒト どうぶつの仲間

おわかりいただけただろうか。

あえて「雑に」動物を紹介してきたことで、最後に人を並べても「どちらも大して変わりはしない」という空気感が醸成される。

人間も広い意味で動物の一員だということが子供から大人まで感じ取れる作りになっているのだ。


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多様性を尊重するだけでなく、思いっきり後ろに下がって世界を「雑に」「哲学的に」眺める

【ハムスターの可愛さはどうぶつの中でも群を抜く】

実際に、ヤバTの3人は音楽ナタリーのインタビュー記事で、「ざつにどうぶつしょうかい」の歌詞の中では「ヒトの部分がキモですよね」と記者に問われて、こう述べている。

しばた「哲学的な」
こやま「人はやっぱり自分も人なんで、ちゃんと紹介したかったなって」
もりもと「ここがなかったら本当に対象が子供だけになっちゃうんで。大人にもそこで深く考えてもらえたらと思ってます」

(音楽ナタリー「ヤバイTシャツ屋さん キャッチーさの中に隠した本当に伝えたいこと」より)

多くの日本企業で今、重要性を叫ばれているのが「ダイバーシティ(多様性)」だ。

個人や集団間に存在する様々な違い、「多様性」を競争優位の源泉として生かすために制度などを変革しようとするダイバーシティ・マネジメントの動きが盛んになっている。

確かに、多様性を尊重する世界はマイノリティー(社会的少数者)にとっても重要だ。

人間の性質を細分化して社会が把握し、個別に対応することは世界平和に繋がるかもしれない。

しかし、時には多様性を「あえて」忘れる必要もあるのではないか。

一歩下がって、いや何百歩も下がって「雑に」地球を眺めてみると世界はまた違って見える。

キリンは首が長いだけ、カタツムリは走るのが遅いだけ、ヒトは服をきてるだけ。

そして、キリンもカタツムリもヒトも「いつか死ぬ、どうぶつの仲間」

多様性ではなく同質性に着目することで、優しい世界が広がっていく。

ヤバTが示した、思いっきり後ろに下がって世界を「雑に」眺める視点も、世界平和のために重要ではないだろうか。

【ヤバTはこやまたくや(G、Vo)、しばたありぼぼ(B、Vo)、もりもともと(Dr、Cho)の男女ツインボーカルのスリーピースバンド。ライブが盛り上がっててヤバイ、行きたい】







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