米GEに不正会計疑惑、告発者は「正義の人」のハリー・マルコポロス氏 巨額詐欺マドフ事件を命がけで追跡の経験





アメリカの株式市場で激震 ゼネラル・エレクトリックが巨額の不正会計との告発

アメリカで経済ドラマのような事態が起きている。

米国の有名な会計専門家のハリー・マルコポロス氏が8月15日、ゼネラル・エレクトリック(GE)が巨額な不正会計を行っているとの報告書を公表した。

マルコポロス氏によると不正額は380億ドル(約4兆円)で、それも氷山の一角にすぎないという。

(レポート:https://www.gefraud.com/

報告書を受けて、同日の米株式市場ではGEの株価は前日比11%安と急落した。

【米国ではマルコポロス氏の報告書が大騒ぎになっている】

マルコポロス氏はGEが保険部門の負債を過小に評価しており、石油・ガスサービス企業ベーカー・ヒューズへの投資を正しく会計処理していないと主張している。

一方でGE側はマルコポロス氏の主張に根拠はない、保険事業には十分な引当金を積んでいるとの反論コメントを発表した。

マルコポロス氏は7カ月の調査、175ページに及ぶレポートの作成において、あるヘッジファンドと協力していた。

マルコポロス氏の主張に対して疑問の声も上がっているのは確かだ。

「負債の時価評価など会計上の見積もりには判断の余地が大きい」
「空売りファンドを儲けさせようとしているのではないか?」

しかし、ここで立ち止まって考えてみたい。

ハリー・マルコポロス氏とはいったい何者なのか。

史上最大級の巨額詐欺事件を命がけで追った「正義の人」が、目先の利益に囚われた行動をするだろうか、と。

GEを告発するハリー・マルコポロス氏、過去最大級の詐欺「マドフ事件」を見抜く

【フジテレビの番組「奇跡体験アンビリーバボー」が2019年8月1日にマドフ事件を扱い、ハリー・マルコポロス氏を紹介していた】

日本ではあまり報道されていないが、米国で過去最大級の詐欺事件と言われるのが「マドフ事件」だ。

実業家のバーナード・L・マドフ(メイドフ)は1980年代頃からネズミ講的なポンジ・スキームで資金を集めていた。

安定的な利回りと紹介のみで顧客を集める手法は何十年も評価され続け、マドフはNASDAQ会長という金融業界でも栄誉ある地位にまでたどり着いたのだ。

しかし2008年のサブプライムローン危機(リーマン・ショック)で株価が急落、複数の投資家からの資金の払い戻し要求に応えられず巨額詐欺が発覚した。

ここで、マドフ事件と戦っていたのがCFE(公認不正検査士)でもあるハリー・マルコポロス氏だ。

投資会社で働いていたマルコポロス氏は安定した収益を出し続ける「マドフ投資の会」の分析を上司から指示された。

マルコポロス氏は「4分間見ただけで、資料に書かれている内容がデタラメであると見抜いた」という。

(奇跡体験アンビリーバボー「実録!史上最大の詐欺事件 世界をダマした男」より)


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マルコポロス氏、命がけで詐欺事件を告発するもSEC動かず アンビリーバボー

【アメリカの株式市場が騒然としている一方、日本の夏は暑い】

マルコポロス氏は2000年5月にマドフの詐欺行為についてSEC(米国証券取引委員会)に告発。

詐欺被害を食い止めようと2001年、2005年、2007年、2008年と続けてSECに証拠書類の提出を続けた。

しかし、金融業界の権力者であるマドフへの対応についてSECの動きは鈍かった。

業界の権力者への告発を続けていたマルコポロス氏は、マドフが逮捕されるまで身の危険を感じていたという。

「私がマドフを追跡することで私自身も私の家族までも危険にさらしているのではないかという恐怖に怯え、まるで死刑宣告をうけたような気持ちで暮らしていた」

「数十億ドルの金が出資されていたが、自分の投資金を守るためなら人を殺しかねない一部のロシアのマフィアや 麻薬カルテルのものだったであろう」

「夜間には人影からは離れて歩き、銃をベッドの傍に置いて眠った」

(FRAUDマガジン「ウォール・ストリートはマドフの不正行為を知っていた」より)

2019年8月、GEに不正会計があると主張しているハリー・マルコポロス氏とはこんな「正義の人」である。

なお、マドフ事件を題材にした日本のテレビ番組「実録!史上最大の詐欺事件 世界をダマした男」は2019年8月1日に放送された。

それからたった二週間でハリー・マルコポロス氏が新たな不正疑惑を摘発しようとしている偶然こそが、アンビリーバボーだ。







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